3.11 東日本大震災から9年… キャンピングカーが防災需要増で人気高まる訳
災害の多い日本でキャンピングカーが再注目されている
近年、自然の猛威に翻弄され多くの人が災害に見舞われています。一般社団法人日本RV協会(以下、日本RV協会)が実施したアンケート調査の結果では、全体の7割の人が災害を身近に感じ、意識するだけではなく、防災対策を実施していることがわかりました。
では、実施に被災した際にはどのような物が必要となるのでしょうか。
アンケート調査では、もっとも必要だと感じたものは「場所」だといい、次に「電源」や「水」となっています。
食事や仮眠・睡眠などをおこなうには必ず場所の確保が重要なことだといえ、自分の場所を見つけ、安全を確保することが、肉体的にも精神的にも大切です。
実施の被災地では、政府や自治体が提供する避難所などで生活を送ることが大半ですが、少しの間でも自分の場所を確保する方法として、近年レジャーなどの用途で人気が高まっているキャンピングカーが注目されています。
今回のアンケート調査において、キャンピングカーが防災に役立つと考える人は全体の97.5%に達し、多くのユーザーがキャンピングカーがあれば「場所」や「電源」の確保ができると考えているようです。
では、キャンピングカーはどの程度の防災対策になるのでしょうか。
防災のためにキャンピングカーの購入を検討を考えた人は全体の77.3%となります。一方で、購入を考えられない人の理由としては、「コストが高い」「置く場所を確保できない」というもので、防災を意識して購入を考えた人の多くも、レジャー用途がメインにあったうえで、防災は万が一の備えだと回答しています。
そのため、キャンピングカーは防災対策としての期待値が高いものの、ある程度のハードルがあることから、レジャーとしての利用価値があってこそ、購入を考えられるクルマのようです。
また、キャンピングカーの個人所有によるハードルが高い現状において、日本RV協会は公共機関によるサポート体制が重要だといいます。
実際に、地方自治体とのサポートにより、非常時のトイレだけを架装したクルマも活躍するほか、病人を受け入れるドクターカーなども存在するため、その範囲を広げて、キャンピングカーを導入するという方法も考えられます。
アンケート調査では、自治体のキャンピングカー購入を推奨する人は62.1%となり、半数を超えています。
日本RV協会は、「実際には予算や運用方法などいろいろな問題があるかもしれませんが、個人レベルでは対応できない『キャンピングカーの利用価値を最大限に活かす』には、自治体の協力が必要といえます」といいます。
(くるまのニュース編集部)
キャンピングカーオーナーの被災体験で分かったこと…
いまから25年前に発生した阪神・淡路大震災で被災した人は、次のように当時を振り返っています。
「阪神大震災では、半壊認定を受けるほどの被害を受けた家で夜寝るのは怖くて、キャンピングカーで約1か月寝起きをしました。
自宅を新築中で、当時もキャンピングカーで就寝したため、怪我することなく済んだのは一生の想い出です。普段寝ていた部屋は大型TVやタンスが倒れ、おそらく、家具の下敷きになっていたと思います」
また、2018年に北海道全域で起きた大停電に遭われた人は、次のように話しています。
「大停電の際、ソーラーパネル発電にて、スマホ、モバイルバッテリー充電をおこない、清水タンクに水を保管しました。
停電のため、家の温水ボイラーが使えず、シャワーすらできなかったのですが、キャンピングカーに装備したインバーターの電源を使って、家庭用温水ボイラーを稼働できたので、シャワーを浴びて、清潔を保つことができました。もしも、極寒の時期ならば、FFヒーターで暖まり、キャンピングカー内で暮らすことができると思います。これは命に関わる大切な要素だと思います」
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キャンピングカーは、レジャー用途だけではなく「場所・電源」といった生活に欠かせないものや、備え付けのテレビやラジオからの情報収集など、被災時には大きな役割を担う存在ともいえます。
しかし、個人所有をするには購入コストや維持・管理などさまざまな課題を解決しなければなりません。そのような場合に、自治体での防災対策の一環として、キャンピングカーがあると日常的なイベント行事から万が一の災害時まで幅広い用途で活用できる可能性があるのです。