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無職でキャンピングカー生活を始めた夫婦の実態

更新日 : 2021.10.29

キャンピングカー生活を始めた

キャンピングカー生活を始めた

賃貸で住んでいた愛知県の家を解約し、昨年末からキャンピングカー暮らしを始めた岡田大樹&梨紗子夫妻。ふたりが「バンライフ」と呼ぶその生活は実に冒険的で憧れるが、実際には不便なことだってあるに違いない。


当記事は、『OCEANS』の提供記事です。元記事はこちら
生活費や収入、夫婦仲は? 家族が増えたらどうする? 素朴な疑問をストレートにぶつけてみた。

12月にキャンピングカーが納車されてから1年弱の間に、総移動距離は9000km、訪れた場所は沖縄をスタート地点に九州から関東圏まで22県に及ぶ。

車内の間取りは「1DK風呂トイレなし」。使えるスペースをすべてカウントすると生活圏は約10平米だ。早速、バンライフのリアルを覗いてみよう。

家を手放したきっかけは?

時間とお金をつぎ込んで得た仕事を一瞬で失い、人間関係にも失望し、絶望の淵にいたという梨紗子さん。生活基盤を失い、一度ゼロの状態になってから心機一転。ずっと夢見ていたバンライフを始める決心をしたという。
その日を境にふたりの生活は一変。9月末に部屋を退去し、荷物のほとんどを断捨離。その勢いのまま約800万円のキャンピングカーをローンで購入し、納車まではコンパクトカーで車中泊。12月から本格的なバンライフをスタートさせた。

勢いで冒険に出たのはいいものの、2人同時に収入源を失った点は痛手だったという。仕事はどうしているのだろうか。

大樹さんも梨紗子さんも、パソコンさえあればそこが仕事場になる。大樹さんは動画編集を主に、梨紗子さんはSNS運用の代行やコンサルを請け負っているという。クライアントワークと自身のYouTubeチャンネルの広告が収入源で、生活はだんだん安定し始めた。

今は頑張り時と、労働時間は10〜15時間になることもざら。「バンライフを始めたい人に、僕たちのやり方はおすすめしない」という理由もここにあるようで……。
請け負った仕事が消えたら収入はなし。今年3月頃は『ヤバい!』となって、そのときにいた沖縄でバイト生活に明け暮れました。無理やりどうにか乗り切ったという感じです。

バンライフを考えている人がいたら、移動しながら収入を得られる仕事をちゃんと見つけてからのほうがいいと思います。きっと、もっと楽しく続けられますから(笑)」。

毎月の生活費は?

梨紗子:「バンライフの生活費は月10万円あれば余裕ですよ。いちばん大きい出費は、キャンピングカーのローンと食費。次にガソリン代ですね。例えば、今年2月の生活費は2人で6万6000円でした。食費だけで言うと、平均して4〜6万円程です」。

大樹:「燃費はリッター7〜9キロです。普通のコンパクトカーなら13〜15キロなので、ほぼ倍。ですが、軽油なので単価が安いんです。ガソリン代は平均して月1万円前後、移動が多いときで3万円くらいになります」。
2人のバンライフ生活にかける費用は、ときに愛知時代の家賃をも下回る。バンライフの生活費は、抑えようと思えばかなり抑えることができるようだ。意外に燃費も悪くない。

ただ、それは2人が“ミニマリスト”であることも大きな要因になっている。

トイレと風呂はどうするの?

岡田夫妻はもともと“ミニマリスト”の実践者。ミニマリストとは「持たない」ことを信条に、最小限の物で生活する人のことを指すが、岡田夫妻も断捨離好きで多くを所有しないし、贅沢を求めない。

シャワーやお風呂も毎日は必要ないといい、2日に1度の頻度で漫画喫茶のシャワーを利用したり、銭湯に行ったりする程度だという。
梨紗子:「トイレもコンビニに必ずありますし、道の駅にもあります。24時間使える公園もあるので、慣れれば問題ありませんが、車内にあればもちろん完璧です。ただそうなると排水や臭いの問題が発生するので、今のままでいいと思っています」。

ただ、ひとつだけ後悔もあるという。

大樹:「本当は車内にシャワーを備えたかったんです。でも納車されて蓋を開けてみたら排水溝が付いてなかった。どうやらオプションだったみたいで(笑)。完全にリサーチ不足でしたね。これはひとつ、大きな失敗でした」。

キャンピングカーの購入を検討している人は、水回りを念入りに確認したほうが良さそうだ。

バンライフを続ける理由と生き方

7つの疑問を投げてみて、バンライフは楽しいことばかりではないことが分かった。生活空間の狭さが夫婦喧嘩につながることもあれば、給水・排水という水問題から捨てる場所を確保しなければいけないゴミ問題まで、ならではの課題で溢れている。

休暇に限ったバケーションならともかく、この暮らしをこれからもずっと好んで続ける理由は、不便さや不自由を上回る何かがあるから。それは何なのか。

大樹:「やりたいことをやれている、自分の意思で生きている感覚を得られることですね。僕は14年消防士を務めてレスキュー隊として、亡くなる人をたくさん見てきたんです。事故で後輩を失ったこともあります。その辛い経験もあって、後悔のない生き方をしようと決意したんです。

それでずっとやりたかったバンライフを始めたんですが、この生活をしていると、自分で自分の人生を選んでる実感が得られるのが僕には大きいですね」。

梨紗子:「あとは、行きたいところに行けること。いつかどこかに引っ越したいとか、休みになったらあそこに行きたいって思わなくていい。会いたい人に会いに行けて、行きたい場所に行ける。すごく自由を手にしているなってワクワクします。

ここで子育てをしたい理由にも通じますが、家と自然の境界線が薄いことも大きい。一歩、外に出たら自然があるし、天井もない。この自然と隣り合わせの意識は自分の感性も変えてくれます。生きるうえで知恵を絞ることも多いから、生きていく力も付いていく。それは私たちにとっても大切なことです」。

やりたいことをやって生きる。それが2人にとってはバンライフで、究極の自由のカタチである。7つの疑問を投げたら、「やりたいことをやって生きていますか?」という問いが返ってきたが、さて、みなさんはどうだろう?

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